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2020年1月10日

徹底的な現場主導で成功へ―製造・運輸業界におけるRPA活用

2020年1月10日

徹底的な現場主導で成功へ―製造・運輸業界におけるRPA活用

「ものづくりの国」としての日本の経済を支えてきた製造・運輸業は、現在転換期を迎えています。グローバル経済における競争力の激化や国内の労働人口の減少などから、現場の力を維持しながらも、業務の効率化や付加価値の創出をすることが求められています。

 

1119日(火)赤坂インターシティコンファレンスにて、製造・運輸業界では初となるUiPathユーザー会を開催しました。株式会社リコーの導入事例をご紹介いただいた後、日本精工株式会社、富士ゼロックス株式会社の2社によるパネルディスカッション、さらに懇親会を実施。参加くださった30社の皆様とともに情報交換をおこないました。

 

日本のお客様のジャーニーに寄り添うパートナーとして

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RPA市場のこれまでの成長と、今後UiPathがどのようなサービスを提供しながら皆様のお役に立ちたいと考えているか、代表取締役CEOの長谷川のご挨拶でユーザー会はスタートしました。

 

「日本法人設立から3年、私たちは『RPAで日本を元気にしよう』と歩んできました。以来、RPA市場は拡大し続けています。今もっとも注目すべきテクノロジーは、ハイパーオートメーションと言われていますが、その中核となるのがRPAです。

 

UiPathのグローバル戦略は、日本のRPAを世界標準にすること。私たちは皆様のジャーニーにいっそう寄り添えるパートナーとして、カスタマーサービスの拡充に尽力していきます。たとえばRPAに適した業務は何かを見極めるための仕組みづくりや、実用的なAIを提供するための実証実験なども行っています。本日は皆様の情報共有だけでなく、UiPathが皆様のご意見を伺う場にもしたいと考えております」

 

困っているのも、アイディアがあるのも、いちばん理解しているのも現場だから。

現場に寄り添う改革で成功したリコー

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まず「現場の底力~製造業の現場力の引き出し方」というテーマで、自社の導入事例を紹介してくださったのは株式会社リコーの浅香氏です。

 

同社はRPAを導入して2年未満。プロジェクトのスタート時には、「社内デジタル革命」としてRPAを活用した業務プロセス改革であることを打ち出し、現場の困りごとを解決する全社活動であるという目的を明確にしたそうです。

 

改革の対象は国内外のグループ30社。1,000名以上にRPA教育をおこない、現在300名ほどがRPAの開発を進めています。残りの700名もRPAを理解したフォロワーになっていると浅香氏はいいます。

 

また、同社で特徴的なのは「現場の社員に投資対効果(ROI)は意識させず、取り組むこと自体を奨励する」こと。

 

「重要なのは定性効果。開発者自身が、業務ストレスから解放され、周りのメンバーの業務プロセス自動化を手伝ってあげることで感謝されたり、喜んでもらったりできることを重視しています。今は業務プロセスの可視化・改善の力が強くなってきたのを感じています。それが次の活動へのモチベーションにもなっています。さらに、誰でも・いつでもRPAに取り組みたいと思ったらそうできるように、Eラーニングの環境を整え支援しています。結果的に年間37,261時間の削減になりました」

 

現場力を生かした迅速なRPA開発で業務改善

浅香氏は具体的な成功事例を2つ紹介してくださいました。

「品質保証と物流部門では、エネルギー認証のための申請業務など非常に単調で面倒な、いわば“やりがいのない仕事”がありました。その単調な業務を担当する現場社員自身が、自らRPA開発をおこないました。その結果、モチベーションが上がり、さらなる改善意欲につながりました。

 

もうひとつ、中国工場の入出庫管理業務も、商品の入った箱のバーコードをバーコードリーダーでひとつずつ読み取る大変な作業です。低い位置の箱をしゃがんでスキャンするなど、身体的な負担も大きかったのですが、これをRPAで自動化することで、年間8,000時間の削減ができ、作業者の身体的な負担も軽減されました。

 

いずれも外部にシステム改善を依頼することなく、社内だけで完結した迅速な開発ができました。自分自身で業務改善できるRPAというツールを得たことは、現場の社員にとって、なによりの大きなモチベーションになっています」

 

RPA展開におけるIT部門の役割とは?

いくつかのRPAをトライアルしながら進化した富士ゼロックス、UiPathひとつでスタートした日本精工株式会社

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RPA担当者の多くが推進にあたって直面する課題が「ユーザー部門とIT部門の連携」です。パネルディスカッションでは、すでにUiPathを導入していただいている日本精工株式会社(以下、NSK)の宮本氏、富士ゼロックス株式会社の松崎氏を迎え、「RPA展開におけるITという部門の役割」をテーマに、RPA導入プロジェクトに関する質問についてご回答いただきました。

ー まず、導入時はどのようにスタートされたのですか?

宮本氏「導入初期は、知見のある外部のコンサルティング会社に支援を依頼しました。その後、45名の推進チームを発足し、社内のリソースだけでやりきってきました」

― 4~5名という少人数で成功したポイントは何でしょうか?

宮本氏「やはりコミュニケーションを分断しないことに尽きます。小さなエラーなど問題点がユーザー部門から出たら、すぐに対応する。密なやりとりを繰り返して、小さいうちに潰していく。これは現場にも本当に喜ばれました」

 

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― RPAのツール選定や開発スタイルはどのように決められましたか?

松崎氏「最初は、私の所属する部署内でRPAに適した業務を選び、トライアル活用を開始しました。効果を得て、実感しながら少しずつ広げてきました。現在は、年間11万時間削減を目標に活動中です。実は、RPA3種類使っています。ひとつは現場主導型として、身の回りの困りごとや日常業務の改善について、自分でRPAを開発するという前提で進めています。そして、基幹システムなどにおいては委託開発型として、UiPathともう1社のRPAを採用しています。

当社ではRPAの選定プロセスに時間を掛けず、まずは実際に使ってみて効果を確認するということ優先的に進めてきました。NSKさんがUiPathに決めた理由は何でしたか?」

 

宮本氏「当初RPAの候補は6社ありました。コストや拡張性、使いやすさなどメリット・デメリットを比較する中で、自動化したい社内外システムとの接続性を最も重視してまず3社にしぼった後、グローバルで使えるもの、そして管理ツールとしての優位性といった点から最終的にUiPathに決めました

 

RPA開発の基準値よりも「現場が本当に困っていること」に向き合うことがいちばん大事

― RPAの投資対効果(ROI)についてはどのような結果が出ていますか?

宮本氏「基準値は年間120時間です。RPAは申請書で管理し、達成できたか否かはフィードバックシートで自ら評価してもらいます。ただ基準値に関しては実際120時間なくても、部署として必要なものや作りやすいものを優先的に開発しています」

 

松崎氏「当社もほぼ同様です。ただ120時間はさきほど話した委託開発型の基準です。現場で解決したいけれど120時間に満たないものは、現場主導型でおこなっています。結果的には、現場主導型を展開した今年の7月以降は、開発数は委託開発型を3倍近く上回り、現在は現場主導型のロボットが増えていますね。これによって、かなり現場の意識が高まっていると思います」

 

宮本氏「当社では4,000時間程度の削減に成功しました。しかし時間以外の効果として、現場からのフィードバックでは『これまでやっていたことが、実はやらなくてもいいことだったとわかった』『分析の網羅性が増した』などの声が多くあがっています。なかでも嬉しかったのは『チーム全員の業務改善意欲が上がった』という上長の言葉でしたね」

― 特に印象に残っている感謝の言葉はありますか?

宮本氏「月初に報告資料をつくる部署があります。出勤すると、まず前月の実績データを手作業で打ち込みます。膨大な数で打ち込みが終わるのは午後34時頃。そこからようやく分析が始まるんですね。翌日上長に報告するために残業時間もかなりかかる。それがRPAのおかげで、朝出社したら、すでにデータが揃っている。『本来の仕事に時間を割くことができるようになった、本当に感謝している』と言われたのは嬉しかったですね」

 

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― 最後に、UiPathのユーザーにぜひ伝えたいメッセージは?

松崎氏「基準値はありますが、四半期に一度の業務などはそもそも基準時間に満たないことが多い。現場主導型の開発を進めて感じたのは、120時間という時間的効果だけでなく、本当に現場が困っていることに向き合うのが大事だということです」

 

宮本氏「2年前にIT戦略本部に異動になり、RPAに取り組んできました。30年近く働いているけれど、こんなに皆に喜ばれ、感謝される業務改善ははじめて。まさに自分自身にとっても働きがい改革になっています」


UiPathユーザー会では、今後も企業の壁を超えて情報共有や意見交換を行える場づくりを強化していきます。自社のデジタルトランスフォーメーションや働き方改革のヒントを見つけていただけるUiPathユーザー会に、ぜひご参加ください。

 

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