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2019年12月11日

関西企業での業務自動化の“今”―RPA「まずはやってみたらええやん」

2019年12月11日

関西企業での業務自動化の“今”―RPA「まずはやってみたらええやん」

日本社会の抱える様々な問題を、デジタルトランスフォーメーションを通じて解決する取り組みにおいて、大きな経済圏を持つ関西企業の参画は欠かすことができません。

 

2019年10月10日(木)、「UiPathユーザー会 第2回 関西分科会」が大阪・梅田にて開催されました。業界・企業の壁を越え105名のUiPathユーザーの方にお越しいただき、関西における様々な企業でのRPAの取り組みについて現場の“生の声”を共有し合いました。今回は、本イベントで開催された講演とパネルディスカッションにご登壇いただいた、5つの組織の取り組みをご紹介します。

 

学生・生徒の豊かな学びを育む、教育機関におけるRPA活用の可能性。

小規模から始めて現場の意識改革を図った大阪教育大学

 

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まずは教育機関におけるRPAの活用事例とその効果について、国立大学法人 大阪教育大学 学術情報課 情報企画室 山本氏にお話をいただきました。同大学では教職員の事務作業の量・種類の増加があり、働き方改革と情報セキュリティリスク軽減のため導入の検討を始めたそうです。「導入には2つの障壁がありました。1つは大学によって状況が異なるため、他大学のRPA事例がまったく参考にならないこと。もう1つは事前の業務分析を行う物理的・精神的なリソースが現場にないことです。そこで『まずはRPAの利便性を現場に知ってもらう』ことを第1ステップとして、情報発信を丁寧に進めました

 

具体的には講習会を開催し、「うちの部署でやってみたい!」と手を挙げてくれた人に対して1対1のサポートを実施。小さなトライアルを続けるうち、その利便性を実感した共感者が増え、導入への機運もアップ。業務改善の視点が各所で生まれ、ペーパーレス化など現場の意識にも変化が現れているそうです。「今はまだ大学のRPA化の最終段階に差し掛かったところですが、将来的には附属学校で働く先生方の業務負担軽減にもつなげていけるのではと手応えを感じています。教職員の業務効率が上がれば、学生・生徒にもっと目を向けられるようになる。より豊かな学びを提供できる付加価値が生まれるのでは」と山本氏は教育機関でのRPA活用の展望について話されました。

 

パネルディスカッション「まずはやってみたらええやん」

人財が育つ、業務への意識が変わる。RPA活用で生まれた会社の“変化”とは?

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パネルディスカッションでは、自社の体制や業務自動化の目的に合わせてUiPathを様々な形で活用されている関西企業4社にご登壇いただき、「まずはやってみたらええやん」と題してRPA推進における現場の本音についてお話をお聞きしました。モデレーターとしてアズワン株式会社の福田氏をお迎えし、各社の導入経緯と体制、さらに会場から寄せられた質問の中でもっとも多かった「どのように人財教育を進めているのか」について、おのおのの取り組みをお聞きしました。

 

投資対効果(ROI)の高い業務を優先し、100%外部委託でRPAを推進。

株式会社神戸製鉄所 鉄鋼事業部門システム技術部 加古川グループ 主任部員 平井氏

「当社がRPAの取り組みを始めたのは2017年10月から。経理系の業務自動化という比較的軽めのものからスタートし、現在は96のワークフローをロボットで稼働しています。当社の特徴は、100%外部委託で開発・運用を行っていること。そのため、ベンダーにいかに漏れなく的確に業務内容を伝えるかが、質の高いRPA構築のキーになるんです。できるだけスムーズに開発を進められるよう、フォーマット化された手順書に現場担当者が必要事項を記入することで情報の抜け漏れを最小化する、管理系とIT系の両部門の視点からさらにヒアリングを行い細部まで条件を洗い出す、そしてアジャイル型開発により現場でスピーディに最適化していくという手法を組み合わせています。」

 

社内のRPA情報共有の場を充実させ、社員が主体的に学び続けられる環境に。

参天製薬株式会社 情報システム本部 コマーシャルシステム&デジタルソリューションチーム 柴田氏

「当社がRPAに取り組み始めたのは2018年12月から。基本はEUC で開発・運用を行っていますが、現在ERPシステムの更新プロジェクトに関連したRPA化が進行していてその部分は外部委託で具体的な検討を進めています。稼働済みのワークフローはまだ少ないですが、今後活用範囲はどんどん広がっていくと思います。UiPathを選んだ理由はUIの使いやすさ。開発者目線でつくられたプラットフォームだと思います。

 

人財教育という面では、まずはRPAへの理解を深めるために社内説明会を開催。“ロボット”というと製造ラインの機器をイメージする人もいるのですが、RPAはちょっと違いますよね。かわいいロボットのキャラクターをつくり、『何でもできる魔法使いではなく、ちょっと不器用だけど任されたことには忠実ないい子です』と説明しています(笑)。また開発・運用に携わる人財にはハンズオンを活用したOJTを実施。To Doを一覧化したポータルサイトを用意したり、更新情報をニュースレターで発信したり、よろず相談会を定期的に開催したりと、主体的に学びやすい環境を整えています。」

 

RPA導入の目的は業務改善ではなく、「デジタル人財の育成」がメイン

田辺三菱製薬プロビジョン株式会社 ワークイノベーション部 デジタル推進グループ グループマネージャー 佐々木氏

「RPAって楽しいし、ワクワクしませんか?RPAをきっかけにAIやビッグデータ活用に自然と入っていって、デジタル・IT後進国と言われる日本が他国に追いつくとっかかりになると思うんです。そうした観点から、当社ではRPA導入の目的をデジタル人財育成・デジタルリテラシーの向上としています。プラットフォーム検討にはかなり力を入れ、3つ目にたどり着いたのがUiPathでした。今は65のワークフローが稼働中。順調に社内開発者も増えており、年内には100名ほどになりそうです。

 

当然、人財教育も充実させており、私が手作りした300ページほどのテキストを2日間の研修でやり込みます。ポイントは、操作しながら変数と結果の関係性をきちんと理解すること。知識がないと、その業務が自動化できるかどうか判断できませんから。一人ひとりのIT知識や技能に差があるのは当然なので、それぞれのスキルをどう生かして、業務にITの力を活用していくかを主体的に考えられることが重要だと思っています」

 

外部委託からEUC(エンドユーザー開発)への移行を実現。必要な雛形があれば最適化は可能!

アズワン株式会社IT推進本部IT推進部長 福田氏

「当社は2018年1月にUiPathを導入しました。最初は外部委託での開発・運用でしたが、ベンダーが作成した“雛形”をベースに業務に合わせて調整する手法に切り替え、現在はEUCでの開発・運用に移行しています。当初は必要な“雛形”の種類がかなり多くなるのではないかと心配していましたが、業務を分類すると案外パターンは似ていて、必要とされるワークフローはさほど多くないことがわかりました。

 

人財育成に関しては、『できるUiPath 〜今日から始めるRPA〜』のテキストと、オリジナルの補足資料で研修を行っています。また週2回、ロボット教室を開催しています。座学が5〜6時間ありますが、それ以降はロボット化したい業務を持ってきてその場で開発する、というスタイル。私たちIT部門は、“労力”をかけるのではなく、皆で集まってやってもらえる“場”を用意するだけ。食堂やコワーキングスペースなどで実施し、社員が互いに情報交換しながらトレーニングしています」

 

RPA担当者の「孤独」が課題に。社外のつながりを活用しよう

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各社の取り組みの実情や教育制度について話が盛り上がったのち、モデレーターの福田氏からRPA担当者の「孤独」についてお話がありました。「『どうすればいいの?』という壁にぶつかることもあるが、社内に相談する相手がいなくないですか?」という声に対し、登壇者も皆うなずきます。

 

福田氏はビジネス向けチャットツール「Slack」で、RPA担当者が会社を超えて交流を始めている現状を紹介。QAを展開したり、勉強会や情報サイトの情報を交換したり、資料をシェアしたりといったつながりを広げることの有用性について話されました。興味のある人はぜひ参加し、RPA活用の一助にしてほしいと締めくくられました。


UiPathユーザー会では、今後も業界・企業の壁を超えて情報共有意見や交換を行える場づくりを強化していきます。自社のデジタルトランスフォーメーションや働き方改革のヒントを見つけていただけるUiPathユーザー会に、ぜひご参加ください。

 

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